Credit
WRITER:DAG FORCE
#1.
Research Trip
2017
NN調査旅行紀行 Portland編 Vol.1
「全米で移住したい都市 NO.1」のポートランド。
米国オレゴン州にある一都市が、なぜこれほどまでに世界の注目を集めているのか。
人々の関心を惹きつけてやまない、この街の持つ魅力とは一体なんだろう?
サードウェーブコーヒーの火付け役 ストンプタウンコーヒー&ロースターズがあったり、ピノ・ノワールの世界的産地で、ACE HOTELにはじまるデザイナーズホテルの世界的潮流の発祥地であったり、消費税がゼロであったり、コロンビア・スポーツウェアやナイキ、ワイデン+ケネディなど世界的有名企業の本社があったり。
飲食に始まる様々な文化、教育や経済、林業・農業・工業からIT・ハイテク産業までと、様々な分野において世界を刺激し牽引する力を持った街。近年世界中で注目され、数多くのメディアで特集されてきたポートランドだが、60万人が賢く、楽しく、ヘンテコに生きるこの街には、どんな秘密が隠されているのか!?気になって仕方がない!とにかく百聞は一見に如かず!ということで、都市計画やムードや暮らし方、働き方など、目で見て感じ触れるため、NNメンバーみんなでいざポートランド!行ってきました!
全3部構成される本ポートランド・レポートの第一弾は、私たちの目から見たポートランドの街についてご紹介。
さて、私たちがポートランドを訪れたのは2017年1月中旬。約40年ぶりと言われる記録的寒波の影響で街は大雪に見舞われた。雪と雨とみぞれと路面凍結などの影響からダイヤの乱れはあったものの、市内での移動は、市電とバスでの移動がとても便利。試験的に導入されていたスマフォのアプリを利用し、チケットレスで市電とバスに乗車。NYのメトロカードよりも便利で、ICカードを発行しない分、日本のPASMOやSUICAよりもエコな印象でした。
ちなみに、ポートランドは自転車を愛する人が多いことでも有名。
訪れたのが冬季で大雪だった為に見ることはなかったが、多くの人が通勤に自転車を利用しており、自転車専用レーンや自転車をシェアするシステムなどが充実しているそうです。行政主導で市民の自転車利用を促し、環境に配慮した都市計画を実施しています。実際、住民の自転車通勤者は全住民の8%で、アメリカ全土の平均値の約10倍にあたり、オランダやデンマークなどの自転車先進国には及ばないものの、市内には数多くのオーダーメイドの自転車ショップがあるなど、世界有数のサイクリングを愛する人が住む街となっています。
街を歩いていて気がついたのだが、NYやその他のアメリカの都市のように道端にごみが散乱している様子はなく、路地はとても綺麗に保たれていました。またWhole Foodsなどの大手自然食品スーパー以外にも、様々なオーガニック食材を購入できる地元のお店も沢山ありました。
市民は、一年を通してアウドドアやスポーツを楽しむそうで、夏には毎週のように開催される野外フェスティバルに出かけたり、キャンプやハイキングなど自然の中で過ごす遊びや娯楽が沢山あるのだそう。話をした市民の誰もが、夏から秋にかけてのポートランドが最高だよと教えてくれました。こうした自然環境に対する人々の意識や距離感というのは、昔からの風土的なものもあるかもしれませんが、やはりそれは、豊かな自然環境と共に経済発展を遂げてきた、ポートランドならではの都市計画によるものが大きいと感じました。
人口60万人の住むポートランドは、日本でいうところの横浜や広島といった都市と同じ規模の地方都市であるにもかかわらず、超高層ビルや景観を損なうような建物は存在しません。どの建物も、できるだけ周囲や自然環境との調和に配慮されており、街全体が、自然と共に発展していくという意味で「サスティナブル」なデザインを実施しています。これらの「サスティナブルなデザイン」というのは、建築だけではなく、道路設備、区画整理から、人々の生活や働き方まで幅広く浸透し影響していることがわかりました。そしてこれを実現するために、行政だけではなく民間企業も一緒になって積極的に、戦略的にまちづくりに参加しているといいます。
このサスティナブルな都市デザインについては、次回第二弾で、具体例をふまえ、さらに細かく紹介し考察していこうと思います。
さて、実は今回、前述した歴史的大雪の影響で視察を予定していたポートランド行政やナイキ本社、ワイデン+ケネディまでも軒並み休業ということで、残念ながら話を聞くことはできませんでしたが、街歩きをしているだけでも、ポートランドという街の「良さ」が伝わってきました。それは、上記の自然環境の良さや、移動の便利さ、街での過ごしやすさはもとより、やはり1番の「良さ」とは、ポートランドで出会う人たちの素朴な人柄だと思いました。世界から注目されていることなんか気にもとめず、皆マイペースに生きて、自分たちの街や文化に深い愛着を持っている。レストランで相席になった人もバス停で隣に並んだ人も、見ず知らずの私たちに自分たちの街の魅力を素直に語ってくれました。立ち寄ったカフェや小物屋さんでも本屋さんでも床屋さんでも、自分の仕事に誇りを持ちこだわりを持って日々を挑戦し楽しんでいることが伝わってきました。
この街とこの街の人や暮らしについてもっと知りたいと思いました。
WRITER:DAG FORCE